2010年… 筆者は「トリートメントは髪を傷めます!」発言で理美容業界を騒がせ、独自のすっぴん髪・素髪理論を元にオリジナルのDO-Sシャンプー&トリートメントを開発しました。
その後も「クリープパーマ技法」「処理剤なんて下水の肥やし」「中間水洗で還元剤は流れません」「リタッチカラーのすすめ」「水抜きアイロンはパンドラの箱」などなど… パーマや縮毛矯正、ヘアカラーにも分野を広げ新美容出版『マルセル』等の理美容師さんが勉強する専門誌にも多くの特集記事で取り上げられ、日本全国で美容技術・毛髪理論講習会も沢山開催しました。
現在、筆者の始めた(株)DO-S企画はすっぴん髪・素髪理論を元にDO-Sシャントリから始まりヘアケア製品やパーマ剤、縮毛矯正剤、ヘアカラー剤や特許ケラチン等の各種処理剤など沢山の理美容師さん向けの薬剤を多くラインナップする美容メーカーになっております。
今回は「ヘアトリートメントは髪を傷めます!」筆者はこいつをどうして発見したのか?どうしてヘアダメージしちゃうのか?など詳しく解説していきましょう。

美容師と医師との違いとは?
筆者は16歳の時、1981年に美容師として働き始めました。そして24歳で美容室をオープンし、51歳で現役の美容師を引退したのですが… ずっと疑問に思ってた事がありました。
美容師とお医者さんとの違い!
医師してる友達とかと話をしてたら、お医者さん達って学会だとか発表会や勉強会みたいなのがあって、常に新しい治療法や医薬品などを勉強(研究)してるんですよね。
それらの最新の治療法や手術法や新しい薬なども大学の医学部の教授の先生達とか、お偉いお医者さんが研究して開発したりしてるんですよ。新薬や装置などもお医者さんが臨床実験しますしね。
理美容師さん達の業界にはカットなどの技術的な勉強ならカット講習会とかカット教室などはあるんですが… 薬剤知識や毛髪のダメージやケア理論的なことだと、学会も論文もないし、美容学校に毛髪や薬剤理論の研究所も研究開発してる教授さんもいないんです。
理美容師さんの業界では昔っから、新しいパーマや縮毛矯正やヘアカラーやサロントリートメントなどは、商材メーカーさんや販売ディーラーさんに教えてもらっていたのです。
しかも美容院専売の商材メーカーさんでは、よっぽどの大手メーカーさんじゃないと技術インストラクターさんなんかいませんからね〜(汗)普通はメーカーや問屋さんや販売店さんの営業マンさんが教えてくれるんですよね。
新しいパーマやストパー・縮毛矯正や髪質改善系のサロントリートメントなんかなら、臨店講習(りんてんこうしゅう)っていってメーカーの営業マンさんがサロン営業後に来てくれて、だいたいサロンスタッフをモデルに実技講習で使用法とか薬剤知識を教えてくれます。
これってお医者さんで例えるなら…
最新の治療法を製薬会社の営業さんやその販売店の営業さんが医師に教えてるって感じですね!
医学に関しては素人同然の営業さんがマニュアル通りに教えてくれてただけなのです(涙)

そもそも薬剤知識も毛髪理論もほぼ知らない純粋?な美容師だから通じてたんですね(汗)
たまに理美容商材メーカーの研究開発の学者さんみたいな方が教えてくれたりする場合もありますが… これまた微妙な感じで、商材メーカーの研究開発者さんは化学・薬学の専門家なので美容理論は専門外ですからね。
例えば、開発関係の方はケラチンタンパク質っていう物質自体や薬剤に含まれている成分等には詳しいけど、パーマやヘアダメージの仕組みなんてのは専門外なんですよね。
研究者、開発者、学者さんということで、誰もが信用してしまうのですが、研究者といえども自分の専門分野以外では素人同然です。
販売目的の美容商材メーカーからの情報しかないのが美容業界の現実なのです(涙)
現場の美容師が発見した真実とは?
最近では髪質改善メニューとか酸熱トリートメントなどいろんなタイプの美容院で行う『サロントリートメント』がありますが、これらは平成5〜6年ぐらいから増えてきました。
当時はいろんなメーカーさんから新しいサロントリートメントが発売されていたので、筆者のサロンでもよくメーカーさんやディーラーさんにお願いして臨店講習をしてもらってました。
そこで重大な発見をしてしまったのです…
毎回同じ女性スタッフにモデルになってもらってたんですが
サロントリートメントをすればするほど髪が傷んでいくのです(涙)
臨店講習でサロントリートメントをした日はツヤツヤサラサラなんだけど…

1ヶ月も経過すると… 以前よりダメージが増加したようなボサボサ髪に…

これって確実に、トリートメントをすればするほどダメージしてる!よね?
トリートメントはヘアダメージを修復するんだよね?髪の傷みを治すんだよね?って何度も講習してくれてる営業さんに質問してみましたが…
その髪質改善メニューやサロントリートメントを作ってるメーカーの… しかも販売しなきゃいけない営業さんが まともに答えてくれるハズがありません!
しかも当時流行っていた高温アイロンで熱処理するサロントリートメントなんて、美容師側がなにか施術ミスをするといきなりボロボロに傷んじゃうものとかも登場したりとか… ヘアダメージを修復・補修するトリートメントなのにミスすると凄くダメージするのもおかしいですよね?
トリートメントは確実に髪の毛を傷めています!
トリートメントは髪を傷めます!?
ラッキーなことに筆者は若い頃に理美容商材メーカーでインストラクターや開発のお手伝いをしていたので、その分野にも師匠と呼ばれる方や友達がいました。
それで営業マンさんばかりじゃなくそういう開発関係の方たちにもいろいろ聞いたのです。
で でもね… 残念ながら… 誰からもまともな答えが返ってきませんでした(汗)
「サロントリートメントすると1ヶ月もしたら前よりダメージが激しくなってるよね?」
友達の美容師やスタッフたちに話をするとみんな「そうそう!」って納得するし、サロントリートメントを何回もしてるお客さんの髪をみても確実にダメージ増えてるし(涙)
でも なぜトリートメントでヘアダメージするのか? これがなかなかわからなかったんです。

きっかけはある日突然訪れました…
サロントリートメントが登場したのと同じ頃… 美容業界では従来のストレートパーマからブローやストレートアイロン工程を入れた『Mr.ハビット』『リシオ』『リペア』などの縮毛矯正と呼ばれるものにバージョンアップされてきてたのです。筆者もメーカーの開発の先生に協力してアイロン式の縮毛矯正の研究開発をしていました。
そんな時に、地元の某美容師さんがタウン情報誌に縮毛矯正の広告を出してました…
トリートメントでツヤサラのストレートヘアに!
当店の◯◯◯はトリートメント成分で髪に栄養を与えながらクセ毛を綺麗にストレートにしますので髪の毛を全く傷めません。ダメージレスで縮毛矯正が出来ます。
まだまだ毛髪にノンダメージとかダメージレスとかって言葉はあまり使われていない時代でしたが、トリートメント成分で髪を傷めずに縮毛矯正ができるの?って感じです。
このタウン誌の広告文を読んで、筆者はピンときました!
当時の縮毛矯正剤にはカチオン系ポリマーという髪の表面を強力にコーティングする成分が使われていたのですが…
もしかして?この縮毛矯正剤の強い表面コート(皮膜、被膜)でツヤサラになるので傷んだ感じがしないことをノンダメージ・ダメージレスって言っちゃってる?
そういえば、当時流行り始めてたM3Dや髪質改善メニューとか2〜3ステップ式のサロントリートメントにもかなり強い表面コーティングをしてるよね…
髪のキューティクル付近に強いコーティングをする事がダメージに関係してる?
トリートメントとストパー・縮毛矯正
髪質改善メニューやサロントリートメントが登場したのとちょうど同じ頃に、筆者は某メーカーの開発の方と新しいアイロン式の縮毛矯正の研究や検証をしてたのです。
で〜すでにその時には、初めて縮毛矯正する人は超艶々の綺麗なストレートヘアになるけど、何回もたり施術して数ヶ月すると、ボサボサのダメージヘアになる場合が多いってわかってました。
縮毛矯正やストレートパーマはそもそも普通のパーマなどと比べると随分と強い(きつい)薬剤で髪のシスチン結合を沢山切断するのでヘアダメージはかなり多いハズなんですが… でもどう考えてもその強い薬剤のレベル以上に激しくダメージしていくのです(汗)

そしかして?ダメージを感じさせないために配合してる強いコーティング成分【特殊カチオンポリマー】ってのがあるんだけど、これのせいでより激しくダメージするのかな?
表面コートのせいで髪の中に矯正剤のアルカリなどの髪に悪い成分たちが残留してより髪を傷めてしまうんじゃないのかな?
ストレートパーマ・縮毛矯正でハイダメージ毛になってしまうのも、髪質改善メニューやサロントリートメントで髪が傷むのも、髪をコーティングしちゃうからなんじゃないの!
被膜・皮膜コーティングと髪の傷み
【擬似キューティクル】臭い物に蓋をする?髪の毛の傷みを誤魔化してツルピカ美髪に見せる表面コーティング(被膜・皮膜)を貼っちゃうからヘアダメージが増えちゃうんじゃないのか?
平成の初め頃から多くの美容商材メーカーさんたちはこぞってシリコンやカチオンポリマーなどの強い被膜成分でコーティングして髪をツヤサラにする薬剤やヘアケア剤を作るようになりました。シャンプー・リンスやヘアケア剤に被膜成分のシリコンが多く使われるようになり、高性能の高分子ポリマーが登場してからヘアカラー、パーマ剤や縮毛矯正剤やサロントリートメントまで被膜成分で表面コーティングしてダメージを誤魔化し、ツヤサラ美髪に見せるようになりました。
その後、若い頃からお世話になってた薬剤開発者の方が新しく立ち上げたメーカーに移籍しパーマや縮毛矯正の薬剤を開発中でね。その薬剤の実験や検証のお手伝いをしてたんでが、その時にモデルをお願いしてた方達の髪を観察してて、ふと思った事があったんです。
最近の表面コート系のツヤサラ薬剤は施術したては綺麗で髪が傷んだ感じもないけど、1〜2ヶ月後になるとヘアダメージが逆に多いんじゃないのか?
毛染めやパーマ、ストレートパーマの施術時に表面コートするのでアルカリや還元剤などの悪い成分が髪に閉じ込められて残留しやすくなりより髪を痛めつけるんじゃないのだろうか?
ってことで、パーマ液とか縮毛矯正剤でポリマー系の皮膜成分を出来るだけ配合しない薬剤を試作してもらって実験したりシャンプー・トリートメントも皮膜を貼らないだけでなく薬剤のコーティングを取り除くようなものにしたりなどの数々の実験・検証を繰り返しました。
そして試行錯誤の結果…
被膜コーティングの影響でヘアダメージが増加するのを発見しました。
毛髪の命と言われる大切な『結合水』
縮毛矯正、パーマ、ストレートパーマ、ヘアカラーなどの髪の毛をダメージさせる化学薬品を使うメニューでは、それら髪に悪い成分たちが皮膜コーティングで髪の内部に残留してしまい、余計にヘアダメージを増やしているってのはすぐに理解できたのですが…
サロントリートメントやホームケアで使うシャンプーやトリートメントやヘアケア剤などは特に髪に悪い薬品を髪の中に入れてる訳ではないんですよね… では何故ダメージが増えるのか?
髪の命と言われてる【結合水】にありました。
健康毛の場合だと髪の毛はシャンプーの時とかのびしょびしょに濡れてる状態だと、約30%程度の水分を含んでるんだけど、その中の18%ぐらいは【吸着水】と呼ばれる髪の組織にくっついく水分ね、これはドライヤーしたり、乾いていくとすぐに蒸発していきます。
だから普通ドライヤーなどで乾いた状態だと12%前後の水分含有量なんだよね。
んでこの普通に乾燥した状態の水分の中の約7%が【自由水】って呼ばれる比較的自由に出入りする水分ね。例えば冬場の空気が乾燥してる時とかドライヤーで乾かしすぎた時などはこの自由水が減少しちゃうので髪も乾燥毛になってしまうって理屈だね。
わかりやすくいうと「髪の状況に合わせて自由に出入りする水分」って感じです。
そして残りの5%程度の水分が髪の命と呼ばれる【結合水】で、この結合水は毛髪の組織にがっちりと強力に結合しててそう簡単には出ていかない水分で、髪の水分維持だけでなく髪のケラチン同士などもしっかりとくっつけてるとても大切なもんだね。
たとえば、髪の毛って何時間もドライヤーをかけ続けたり、アイロンをジュ〜ジュ〜しても自由水がかなり抜けちゃってパサパサにはなるけど、全く水分が無くなって乾麺パスタみたいにパキパキに折れたりはしません。これがドライヤーをどんだけかけても普通は出ていかない【結合水】があるおかげなんですよね。
皮膜コーティングでなぜ髪が傷むのか?
髪の表面にあるキューティクルは濡れたら開いて、乾くと閉じるような動きをして髪の水分調整なども行なっています。このキューティクルに強力な皮膜コート成分が付着して固まる(ビルドアップ)とキューティクルの水分調整機能が上手く働かなくなり、シャンプー後などは水分(吸着水)がなかなか蒸発しにくくなり、ふやけたような状態が続きます。
イメージでいうと、長風呂した後に手の指がふやけてしまったような感じね(笑)

皮膜コーティングにより毛髪の水分調整が上手くいかず、このようにふやけてしまうとタンパク質が変性しやすくなり【結合水】にも悪影響を及ぼし、少しづつ髪の命である【結合水】が減少してしまうんです。これが皮膜コートで髪の毛が少しづつダメージしていく理由なんですね。
トリートメントは髪をダメージさせます
髪質改善メニューやヘアトリートメントでなぜ髪がダメージするのか?
そいつをまとめると・・・
髪質改善メニューやヘアトリートメントをする
ヘアダメージを誤魔化すため、髪を綺麗に見せるために強力な表面コーティングをする
皮膜コート成分が固まり、キューティクルが上手く機能しなくなる
髪の水分調整が上手くいかなくなり結合水が減少してしまう「
結合水が減少し、髪が乾燥しやすくタンパク質も流出しやすくなりヘアダメージする
こんな感じで毛髪は傷んでいくのですね!