縮毛矯正でジリジリのビビリ毛・ポーラス毛にしないための美容師コラム

縮毛矯正やストレートパーマで失敗して髪が濡れてるとテロンテロンでゴムのようで、乾くとホウキのようなチリチリ、ゴワゴワの酷いポーラス毛状態になってしまう悲劇の『ビビリ毛』

筆者は現役美容師だった2011年頃から美容専門誌でビビリ毛、ポーラス毛の特集記事をしたり、DO-Sブログでもビビリ毛修繕の技術・薬剤の解説していたこともあり、全国からこのビビリ毛になってしまった方やビビリ毛にしてしまった美容師さんからビビリ毛をなんとか修正したい!との相談を多く受けていて、日本初のGMTを使った酸性矯正剤やパンドラの箱と呼ばれた『水抜きアイロン技法』や天然ヘナや水溶性セラックコート剤を使用したビビリ毛修繕法を開発・提案してたりもしました。

現在でも【縮毛矯正 ビビり毛】などでググると、ビビリ毛の修正・修繕方法などは沢山紹介されていますし、実際にビビリ毛になったしまった一般の方などは ちゃんとやり直せば(修繕すれば)ビビり毛は治る と認識されてる方も多いと聞きます。
でも実際は、ビビリ毛の度合いによってはチリチリ、ジリジリの形状自体はそれなりにストレートに修正できる場合はありますが、根本的なダメージや手触り・指通り等が改善される事はないので濡れてる時はテロテロ、乾くとガシガシは変わらないので、長期間かけてダメージ部分をカットしてしまうまではとても扱いにくく手入れの大変な状態が続きます。

一度ビビリ毛になってしまうと、チリチリの状態は修繕可能な場合もありますが、ヘアダメージ・手触りは絶対に治りません!

しかもチリチリの形状が一時的に改善されたとしても、なにかの拍子に元のチリチリ状態に戻る事もよくあります。

白髪染めと縮毛矯正によるビビり毛

そしてこの取り返しのつかない毛髪崩壊ともいえる『ビビリ毛』は、施術した理美容師さんにも非常に大きなダメージを与えます。なぜなら縮毛矯正・ストレートパーマでの最悪の失敗であるビビリ毛は、担当の理容師・美容師さんの毛髪診断、薬剤選定ミスや施術失敗が原因だからです。

美容師的に、この悲劇のビビリ毛は言い訳のできない失敗で、返金や長期にわたる保証問題や、なにより大切なお客様の信頼を失いますし、美容師としてのプライド?もズタズタ(汗)若手美容師さんがビビリ毛がトラウマになり縮毛矯正したくなくなるケースなどあるとも聞きます。
筆者の考えではビビリ毛修正・修繕方法などを勉強するよりは、縮毛矯正、ストレートパーマを施術されるお客さんをビビリ毛にしない方法を勉強するほうが大切だと思います。

そこで今回の美容コラムでは、理美容師さん向けに縮毛矯正やストレートパーマの場合でのジリジリのビビリ毛・ポーラス毛を出来るだけしない方法を解説していきたいと思います。

 

縮毛矯正で起こる悲劇の『ビビリ毛』は美容師の失敗です

究極のダメージ毛ともいえる『ビビリ毛』には大きく2パターンがあります。

ひとつはブリーチ、毛染めやパーマ、縮毛矯正、髪質改善メニューなど髪を傷めるメニュー等を繰り返したり、間違ったホームヘアケアなどでヘアダメージが蓄積されて限界を超え、ジリジリ、チリチリのビビリ毛状態になるケースです。

普段のヘアケアでなってしまった軽いビビり毛

このヘアダメージ蓄積型のビビリ毛は明るく染めていたいしパーマもしたいしなど、お客さんもどんどん髪がダメージしていくのを自覚している部分もありますし、間違ったホームケアやトリートメントなども強く影響しますので美容師だけの責任ではないとは思います。

詳しくは↓

【ヘアダメージが蓄積】傷んでチリチリの髪「ビビリ毛」の対処方法

 

そしてもうひとつのビビリ毛は今回解説していく…

縮毛矯正・ストレートパーマ・還元剤を使用する髪質改善メニュー等を施術後にチリチリのビビリ毛になった状態です。

ブリーチと縮毛矯正でハイダメージ毛

この基本的にパーマ剤の主成分である還元剤を使用して起こるビビり毛は、縮毛矯正だけでなくストレートパーマや還元剤を使用する髪質改善系のサロントリートメントやデジタルパーマやパーマでも起こる可能性はありますし…
たまに施術前の髪質やヘアダメージのせいにする理美容師さんもいますが、正直いって施術前の毛髪診断でビビリ毛になりそうな髪に施術した事自体が美容師の責任であるとも言えます。

この還元剤を使用して起こるビビリ毛は、すべて施術した理美容師さんのミスであると言えますし、きちんとした知識をもって、ちゃんと判断すれば、ほぼ悲劇のビビリ毛は起こらないともいえます。

 

縮毛矯正等の還元剤でのビビリ毛はどうして起こるの?

一度なってしまうと、そのお客さんは何年間もヘアダメージに苦しみ、担当美容師さんの信頼も一挙になくなってしまう恐怖の『ビビリ毛』
美容師さんがきちんと正しい理論を知り、ちゃんと毛髪診断して正しい判断をすることができれば、縮毛矯正やストパー、デジパー、パーマなど還元剤使用でなってしまう『ビビリ毛』はかなりの確率で回避できます。

そのためにまずは、縮毛矯正等でのビビリ毛はどうして起こるのか?っていうのを正確に知っておかなければいけません。

どうしてビビリ毛になってしまうのか?・・・これを美容師さんに聞くと、だいたいが髪質やダメージ具合に合わない『強いアルカリの薬』と『アイロン技術での失敗』の2つがよく上がります。ま〜これは間違ってはいないとも言えるけど、残念ながら原因の本質ではありません。

 

なぜ?縮毛矯正などでジリジリのビビリ毛になってしまうのか?というと…

その方の髪質、ダメージ具合に合わない、髪のケラチンの過剰な還元(過還元)が行われたから!

縮毛矯正でのストレートアイロン工程の画像

そうです、ビビリ毛になる原因は『髪質・ダメージに合わない過剰な還元』なのです。

これを理解するにはパーマ・縮毛矯正の薬剤理論の3つの基本が必要です…

①中間水洗してもイオン化されていない還元剤は流れない。
②中間水洗するとジチオが流れて還元は進行する。
③還元反応は髪が濡れてる時に起こる。

この理論をしっかりと理解しとけばいいんだけど。

例えば強いアルカリ性の薬剤での場合なら、そもそも強いアルカリ性の還元剤は放置時間によって還元力がどんどん強くなる傾向にあるんだけど(アルカリ暴走還元)↓

参考記事:基礎から学ぶDO-S流縮毛矯正講座『過還元による失敗』

強めのアルカリ性の還元剤の場合は、髪質やダメージ具合によって中間水洗することで①②の理由で、急激に還元が進行してしまい過還元を起こすことになるんだよね。

そこでここ10年ぐらいは、ダメージ毛の場合はスピエラやGMTを使用した弱酸性〜中性などの還元剤を使う縮毛矯正が多くなってきたのですが、しかし弱酸性縮毛矯正などでもビビリ毛になる方が増えたのです。

ここで問題になったのが『アイロン工程での水分』なんですが、スピエラやGMTなど弱酸性から中性〜弱アルカリ性の還元剤の場合、どうしても還元力が弱くで癖が伸びないんです。
そこで美容師さんが始めたのが【水抜きアイロン】【ウェットアイロン】で、これらの水分を含んだ状態での高温アイロンで弱い還元剤でもクセ毛が伸びるようになったんです。

ただこれは①と③の原理から… 中間水洗しても還元剤が残っていて、水分があるので還元反応を起こす状態でそこに高温のアイロンを当てるので、一気に強烈な還元反応を起こしてしまうんですよね!

想像してみてください… ダメージ毛に還元剤が残留して、水分があり反応する状態になって、そこに180℃とかの高温アイロンでジュ〜ってやっちゃうのです。

この髪に水分がある状態でのアイロンは、普通毛〜健康毛の場合ならスピエラ・GMTの弱い還元力でもしっかり伸びて良い場結果になる事も多いのですが、ダメージ毛、カラー毛、猫っ毛などの場合は計算以上の急激な【還元暴走】を起こしてしまうケースが多く危険性が高くなります。

酸性縮毛矯正でも『過還元』を起こし一気にビビリ毛になってしまうんですね。

理美容師さんたちの多くがビビリ毛は『アルカリ』『アイロン』などでなると思っているのですが、ある意味どちらも還元暴走による 過還元が原因 だとも言えるのです。

ビビリ毛にならないようにするには、髪質、ダメージ度合いに合った適度な還元を行うのが重要になります。

 

悲劇のビビリ毛は施術前の美容師の判断でかなり防げます!

髪質やダメージ具合に合わせたちょうど良い塩梅の還元を行えば、美容師も泣きたくなるような恐怖のハイダメージである『ビビリ毛』はかなりの確率で防ぐことができます。そこでその判断の仕方を説明していこうと思います。

縮毛矯正、ストレートパーマ、還元を行う髪質改善メニュー等で、まず最初に理美容師さんが判断しないといけないのが、ヘアカラー毛、ブリーチ毛、細毛、軟毛、ネコっ毛、パーマ毛などなど…

この髪質やダメージ具合で果たして縮毛矯正が可能なのかどうか?

ま〜簡単に言えば、この髪で出来るか?出来ないのか?の判断をしなくてはいけません。

たとえば、筆者の経営する美容院では「12トーン以上の明るさに染めてたりブリーチしてたり、今はトーンダウンしてるけど以前は12トーン以上に染めていた方は縮毛矯正やパーマは出来ません」とホームページで告知していました。ちなみに「縮毛矯正をしてる部分にパーマはかけれません」というのもありました。
あとカウンセリング時には、細毛、軟毛、猫っ毛、ヘアカラー毛などの方は特にしっかりと毛髪診断を行い慎重に縮毛矯正の施術が可能な状態かどうか見るようにしていました。

 

ビビリ毛の失敗の原因『過還元』しにくい薬剤を使うべし!

ここ数年美容師さんから多いのが「ダメージレスなハズの弱酸性のスピエラやGMTの1剤を使ったのに何故かビビリ毛になってしまいましたが何故ですか?」って感じの質問です。
ま〜いまだに多くの理美容師さんはアルカリが悪いとか弱酸性のスピエラやGMTは髪が傷まないとか思い込んでるからね…(汗)

では一体、ビビリ毛の原因である『過還元』を起こしにくい薬剤 はどんなものなのか?

今から10年以上前、スピエラ・GMTなどの酸性縮毛矯正が出来る前はビビリ毛になるのはほとんど『アルカリ暴走による過還元』でした。

当時のアルカリの縮毛矯正剤はだいたいが、pH9.3〜9.5の強めのアルカリ性でチオの還元剤濃度が7%ぐらいがほとんどだったので、テスト後の中間水洗で還元が進行しすぎたりして、顔周りの細い毛など比較的簡単にビビリ毛になったりしたもんです。
この当時の還元剤は【高アルカリ中還元剤濃度】の薬剤だったんですね。この還元剤のデメリットはアルカリが高くないと還元力がとても弱くなってしまうという点です。

そして当時はアルカリ性が高くないと還元出来なかったチオグリコール酸やシステアミンに変わって酸性でも還元力があるスピエラ(ラクトンチオール)やGMTなどの新しい還元剤を使った【酸性縮毛矯正剤】が登場したのです。

ただこのスピエラ・GMTの酸性〜弱酸性の欠点としては、いくら酸性で還元できるといっても、そもそも還元力自体がかなり弱いということ。
そこでこの還元力が弱い部分をカバーするために『ウェットアイロン』『水抜きアイロン』などの水分のある状態での高温アイロンで癖を伸ばす技法を使ったのです。
この水分がある状態でのアイロンで一気に過剰な還元(過還元)をおこないビビリ毛になるケースが増えてしまったのです。

◎高アルカリ中還元剤濃度の薬剤・・・アルカリ暴走での過還元でビビリ毛
◎酸性縮毛矯正剤・・・ウェットアイロンでの過還元でビビリ毛

そこでよりビビリ毛になる危険性を減らすため、適正な還元にするために考えられたのが…

髪質やダメージ具合に合わせてノーマル毛ならpH9前後とか、カラー毛やダメージ毛等ならpH8〜9程度にアルカリ性を弱くして、そのままだと還元力も弱くなってしまうので還元剤濃度を10%以上にした【低アルカリ高還元剤濃度の薬剤】です。

詳しくは↓

ビビり毛等ダメージ毛激増中!失敗しやすいストレートパーマ・縮毛矯正

縮毛矯正での失敗を少なくするためのDO-S式の低アルカリ高還元剤濃度の薬剤

 

DO-S式の低アルカリ高還元剤濃度の薬剤を使用するには

過還元しにくく、理美容師さんが計算しやすい縮毛矯正1剤は『低アルカリ高還元剤濃度の還元剤』

ただ現実的にどこのメーカーさんでも、チオ濃度などの還元剤濃度が10%以上ある薬剤はほとんどpH9.5程度はありますので、カラー毛や細毛、軟毛さんようのpH8〜9程度で還元剤濃度が10%以上あるような薬剤は作られていません(汗)

『低アルカリ高還元剤濃度の還元剤』を試してみたい理美容師さんは、まずこちらのページでDO-Sブログの理美容師限定記事のパスワードを取得していただき↓

DO-S理美容師限定記事と理美容室専用の業務用商品について

 

これらの理美容師さん限定記事をしっかり読んで試してみてくださいね↓

DO-S式縮毛矯正1剤のレシピ(クリームタイプ)