髪の毛は弱酸性がベストで、アルカリ性に傾くと傷んでしまうの!?
ヘアカラーやパーマ、縮毛矯正の施術において、「アルカリ剤」は切っても切れない関係にあります。
多くの美容室で「アルカリだから傷む」「これからは酸性の時代」といった言葉が飛び交っていますが、その本質を正しく理解している方は決して多くありません。
今回は、髪がアルカリに触れるとどうなるのか、なぜ傷むのかというメカニズムから、巷にあふれる「酸性メニュー」の誤解、そして髪を守るために真に必要なヘアケアのあり方までを、科学的な視点からわかりやすく解説します。
髪がアルカリに触れるとどうなるのか?
健康な髪の毛は、pH(ペーハー)4.5〜5.5の「弱酸性」のときに最も安定し、高い強度を保っています。この状態のとき、髪の表面を覆うキューティクルはピタッと綺麗に閉じ、内部の成分をしっかりと保護しています。
しかし、ヘアカラーやパーマ、縮毛矯正などの薬剤に含まれる「アルカリ剤」が髪に付着すると、髪は以下のような劇的な変化を起こします。
◎キューティクルの軟化と膨潤(ぼうじゅん) アルカリには、硬いキューティクルを柔らかくして「開く」作用があります。
◎髪の内部がブヨブヨに膨らむ キューティクルが開くだけでなく、髪の内部(コルテックス)まで水分を含んで異常に膨らみます。
薬剤を髪の芯まで浸透させ、色を定着させたり、髪の結合を切って形を変えたりするためには、この「アルカリの力で無理やり道を開く」工程がどうしても不可欠なのです。
アルカリが髪を傷める本当の理由
アルカリ剤が髪に触れること自体が最初のステップですが、本当に深刻なダメージは「薬剤が作用した後」に起こります。
① 内部の重要成分と「結合水」の流出
アルカリによってキューティクルがこじ開けられ、髪が異常に膨らんだ状態になると、髪の主成分であるケラチンタンパク質や、髪の潤い・強度を保つために最も重要な「結合水(けつごうすい)」などが、シャンプーのたびに外へ流れ出しやすくなります。
これが、髪がスカスカになり、パサつきや乾燥を引き起こす直接の原因です。
② 最大の脅威「残留アルカリ」
施術が終わり、美容室のシャンプー台でどれだけ丁寧に洗い流したとしても、実はアルカリ成分は髪の内部に強力に居残り(残留)します。ここが最も見落としがちなポイントです。
サロン帰りの数日間、髪の内部がアルカリ性に傾いたままだと、自宅でお風呂に入って髪が濡れるたびに、キューティクルが勝手に開き、髪が膨潤してしまいます。
つまり、「美容室を出た後も、自宅でのシャンプーやドライヤーのたびに、毎日少しずつ傷みが進行していく」という恐怖のメカニズムが働いているのです。
「酸性なら傷まない」という大きな誤解
近年、SNSやメディアで「酸性縮毛矯正」や「酸性デジタルパーマ」といったワードが注目を集めています。
「アルカリが悪いなら、酸性の薬剤を使えば髪は全く傷まないのでは?」
そう考えてしまいがちですが、これは大きな誤解です。
アルカリを使わない施術であっても、髪の内部の結合を切る「還元剤(かんげんざい)」という成分そのものが持つ負担や、施術時に使用するアイロンの高熱による熱ダメージは必ず存在します。
酸性メニューは「アルカリによる過度な膨潤」を防ぐことには長けていますが、「化学反応を伴う以上、どんな薬剤であっても多かれ少なかれ髪は必ず傷む」というのが、毛髪科学における不変の真実です。
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美髪を保つための「引き算のヘアケア」
ヘアカラーやパーマ、縮毛矯正を楽しみながら、アルカリによるダメージを最小限に抑え、本質的な美髪を保つためには、以下の2つのアプローチが極めて重要です。
美容室での確実な「アルカリ抹消(pHコントロール)
施術の最後に、髪の内部に残留しやすいアルカリをしっかりと中和し、除去して、髪を本来の安定した状態(弱酸性)に戻す処理を正しく行うこと。
これがサロンワークにおいて最も重要なダメージレスへのステップです。
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カラーやパーマのヘアダメージにはアルカリ中和、除去するのが大切!
不要なコーティングを行わない「引き算のケア」
髪が傷んだからといって、表面をシリコンや重層的なオイル、皮膜トリートメントでギトギトに固めてしまうのは逆効果です。
表面に強力な膜を張ると、内部に残った残留アルカリや余分な水分が閉じ込められ、外に出られなくなります。
その結果、髪の内部の腐食(インナードライ)がさらに進行してしまいます。
大切なのは、髪に余計なものを残留させない「引き算のヘアケア」です。
一度髪をすっぴんの「素髪(すがみ)」に戻し、髪本来の水分バランスを整えることこそが、傷みに負けない本当の艶髪を作る唯一の方法です。
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