プレトワカラーは傷まない?白髪染めのダメージと正しい選び方

「プレトワカラーは髪が傷まないカラーだと美容室で勧められたのですが、本当ですか?」

「チラホラ白髪や褪色が気になるけれど、ロングヘアを維持するためにこれ以上ヘアダメージさせたくない……」

サロンワークやブログ読者の方から、このようなヘアカラーのダメージに関する切実なご相談をよくいただきます。

まずは、先日いただいた読者の方からのご相談メールをご紹介します。

【読者さんからのご相談】

DO-Sシャンプーを10年以上愛用している40代です。

ちらほら白髪があり、過去のカラーによる褪色と毛先のバサバサに悩んでいました。

DO-Sブログを読みながら自分に合うカラーを探していたのですが、ヘナやザクロペインターは色落ちや色の好みが合わず、ヘアマニキュアをしようと美容室へ行きました。

ロングヘアを維持したいので「これ以上傷ませずに少しずつ毛先を切り落としたい」と相談したところ、美容師さんからマニキュアはおすすめしないと言われ、代わりに**「プレトワカラー」という傷まないカラー**を勧められました。

今回、伸びてきた根本の色に合わせて褪色した部分のみプレトワカラーを施術しました。

カラー直後は手触りがパキパキ・バサバサして心配でしたが、染める前よりは落ち着いています。美容室ですすめられたヘアミルクもつけていますが、少し油っぽさが気になっています。

そこで質問なのですが、美容師さんが言うように「プレトワカラーは傷まない」というのは本当なのでしょうか?

ミルボンが開発した新しいカラーだそうですが、素人の私にはよくわかりません。やはりマニキュアの方が良かったのか、このままプレトワカラーを信じて続けていいのか、DO-Sさんのご意見を聞かせていただきたいです。

ご質問ありがとうございます。

結論からハッキリ言います。

「プレトワカラーは傷まない」というのは完全なデタラメです。一般的なアルカリヘアカラーと同等にヘアダメージは発生します。

美容師さんが「傷まない」と言ってしまうのは、単なるセールストークか、あるいは薬剤の化学的な仕組みを正しく理解していないかのどちらかです。

なぜ最新のヘアカラーであっても傷んでしまうのか、毛髪科学の観点からその理由を分かりやすく解説します。

プレトワカラーは傷まない?白髪染めのダメージと正しい選び方

なぜヘアカラー・白髪染めで髪が傷むのか?

ヘアカラーや白髪染めによるヘアダメージの最大の原因は、「髪の毛のメラニン色素を破壊するブリーチ(脱色作用)」にあります。

「自分は明るく染めていないから、脱色なんてしていない」と思われている方が非常に多いのですが、これは大きな誤解です。

一般的な白髪染め(おしゃれ染め含む)は、黒髪の部分が暗く沈みすぎないようにするため、自然なブラウンや落ち着いたトーンであっても必ず薬剤の中でブリーチ(脱色)が行われています。

カラー剤の種類によるヘアダメージの違い

髪を染める薬剤は、大きく分けて「脱色を伴うもの」と「脱色を伴わないもの」の2つに分類されます。

脱色を伴うカラー(確実にダメージする)

一般的なアルカリヘアカラー(おしゃれ染め・白髪染め)、イルミナカラー、オイルカラー、プレトワカラーなど

1剤(アルカリ剤・染料)と2剤(過酸化水素水)を混ぜて反応させるタイプは、すべてメラニン色素の脱色を伴います。

脱色しないカラー(薬剤による内部破壊がない)

天然ヘナ&インディゴ、ヘアマニキュア(酸性カラー)、カラートリートメント・塩基性カラーなど

髪本来のメラニン色素を壊さないため、ブリーチによるケラチンタンパク質の破壊や流出が起こりません。

※白髪染めのダメージ構造や脱色メカニズムについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

ヘアカラー・白髪染めで髪がバサバサに痛む原因と傷みを最小限に抑える3つの改善策

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ミルボン「プレトワカラー」の仕組みと実際のダメージ

プレトワカラー(PLETOIS)は、ミルボンが大人世代向けに開発したヘアカラー剤です。

仕組みとしては、「1剤と2剤(過酸化水素水)を混合して、メラニン色素を脱色しながら発色させる」オーソドックスな2剤式の酸化染毛剤(アルカリカラー)に分類されます。

プレトワカラーのメリット(処方の工夫)

もちろん、メーカーさんも最新の工夫を凝らしています。

  • 褪色を感じにくい色設計:退色過程で黄みやオレンジみが出にくいベージュ系染料の配合
  • タンパク質をつなぎ止める処方:毛髪内部のタンパク質同士を吸着・架橋させ、ハリコシを持たせる技術

そのため、従来のアルカリカラーに比べて「色持ちが良い」「手触りの悪化を感じるまでの期間が長い」といった質感面でのメリットは確かに存在します。

特に褪色を感じさせにくいベージュ系染料の採用などは、DO-Sのカラー剤と同じ考えでダメージ軽減のためにリタッチカラーがやりやすいので最新のヘアカラー剤として非常に優れた製品と思います。

相談者様がカラー直後に感じた「パキパキ・バサバサした質感」も、このタンパク質を架橋して引き締める成分が強く働いた初期の反応と考えられます。

「手触りの良さ」と「髪が傷んでいないこと」は別問題

ここで絶対に混同してはいけないのが、「手触りが良く感じること」と「髪が傷んでいないこと」は全くの別物という点です。

どれほどトリートメント成分や架橋成分が入っていようと、過酸化水素水を用いて髪のメラニン色素をブリーチしている以上、毛髪内部のケラチンタンパク質は破壊され、ダメージホール(空洞)が形成されます。

髪の毛本来のメラニン色素を壊している時点で、普通のアルカリカラーと同じように髪は傷んでいるのです。

髪を傷ませずにロングヘアを保つための現実的な選択肢

「毛先のバサバサを改善したい」「これ以上傷ませずに少しずつ毛先を切り落として綺麗なロングにしたい」という場合、どのようにカラーと付き合っていくべきでしょうか。

1. プレトワカラーを続けるなら「根元のリタッチ」に限定する

プレトワカラーの色持ちや色味が気に入っている場合でも、毎回毛先まで薬剤を塗布するのはNGです。

毛先まで塗り重ねるたびにブリーチによるダメージが蓄積し、いずれトリートメント効果では補いきれない深刻なハイダメージ(ビビリ毛や枝毛・切れ毛)につながります。

染める場合は、伸びてきた根元の黒髪・白髪部分だけを染める「リタッチ塗布」を徹底してください。

2. ヘアダメージを軽減するなら「脱色しない染料」へ移行する

薬剤による髪の内部破壊(メラニン色素の脱色)をゼロに近づけたいのであれば、ブリーチ作用のない選択肢が最も確実です。

  • 天然ヘナ&インディゴ
    植物の天然色素を利用した草木染めのため、脱色作用は一切ありません。化学薬品によるダメージがなく、ローソニア等の成分による収斂(引き締め)作用で、傷んだ髪の空洞を埋めて密度を高める効果が期待できます。
    染まりの悪さやムラや色味など難しい部分も多いですが、髪の傷みの少なさを最優先するなら天然ヘナ&インディゴが一番有効です。
  • ヘアマニキュア(酸性カラー)
    地肌からわずかに浮かせて塗布するため頭皮への負担が少なく、毛髪内部のメラニン色素を壊しません。
    ただし、ヘアマニキュアは髪の表面を強力にコーティング(吸着)して発色させる仕組みのため、その皮膜が徐々に剥がれる際にキューティクルを傷つけたり、被膜によって髪の水分バランスを崩したりする「コーティングによるダメージ」が存在します。 完全なノンダメージというわけではない点には注意が必要です。

3. 被膜(コーティング)による質感のごまかしと残留薬剤の密閉に注意する

カラー後のパサつきを抑えようとして、アミノ酸系などのマイルドすぎるシャンプーを使ったり、油分の強いヘアミルク、シリコン・ポリマー配合の皮膜トリートメント、サロンでの濃厚なトリートメントを重ねたりするのは非常に危険です。

ご相談者様が「ヘアミルクがちょっと油っぽい」と感じられた違和感はまさに正しく、過剰な油分や被膜成分は髪を重くベタつかせるだけでなく、髪本来の軽やかさを奪ってしまいます。

さらに恐ろしいのは、強力な被膜(コーティング)によって、カラー施術で発生した「残留アルカリ」や「残留過酸化水素」などの化学薬品を髪の内部にしっかりと閉じ込めてしまう点です。

マイルドな洗浄力のシャンプーではこれらの残留物質を落としきれず、その上からサロントリートメントや皮膜トリートメントでフタをしてしまうと、外側はツヤツヤして手触りが良くなったように見えても、内部では薬品による酸化とアルカリ腐食が進行し続けます。結果として、内部の乾燥や深刻なダメージホール(空洞化)を一気に加速させる原因になるのです。

傷んだ髪に必要なのは、重い油分や強力なコーティングで薬品を閉じ込めてフタをすることではありません。余分な残留物質をしっかり洗い落とし、髪本来の水分バランスを取り戻す「引き算のヘアケア」であり、「すっぴん髪(素髪)」の状態に整えることです。

まとめ:正しい毛髪科学を知ることが最大のヘアケア

「傷まないヘアカラー」という都合の良い魔法の薬剤は、現在の毛髪科学において存在しません。メラニンを脱色して色を入れる以上、どんな最新カラー剤であっても髪の強度は確実に低下します。

  • プレトワカラーも過酸化水素を使う2剤式カラーであり、普通に傷む
  • 褪色しにくさや手触りの良さは、傷んでいないことの証明にはならない
  • 綺麗なロングヘアを目指すなら、フルカラーを繰り返さず「リタッチ」または「脱色しない手法」を選ぶ
  • 皮膜トリートメントやマイルドシャンプーで残留薬品を髪に閉じ込めない

「傷まない」というセールストークに惑わされず、薬剤の特性を正しく理解した上で、ご自身の髪の状態に最適な施術を選んでいきましょう。

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コラム執筆者プロフィール

森下 秀彦(美容師歴約50年・毛髪専門家・DO-S製品開発者) 全国の理美容師へパーマ・縮毛矯正の薬剤理論を指導する元美容師。「世の中のヘアダメージで悩む人を救いたい」という想いから、独自のすっぴん髪・素髪理論に基づいたヘアケア情報を発信しています。
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