簡単で違いも歴然なパーマ技法

簡単で違いも歴然なパーマ技法

私は一時期美容師の現場から離れ、某美容メーカーに転職し、インストラクターや薬剤の研究・開発に携わっていたことがあります。そのような経歴から、美容師に戻ってからも1990年頃からメーカーさんにお声がけいただき、薬剤や技術開発のお手伝いをするようになりました。サルファイトやシステアミン等のパーマ剤や現在主流になったアイロン式の縮毛矯正の開発など、多くの勉強や経験をさせてもらいました。

『DO-S』『キアラーレ』ブランドをつくり上げることができたのも、転職の際にお世話になった美容メーカーの開発者の方々や日本の毛髪研究の第一人者で数々の特許や論文をお持ちである新井幸三先生に理論的なご指南をいただけたお陰です。見識のある方々との研究・開発は、正直とてつもなく難しい理論的なお話ばかりで、大変苦労しました(涙)。

このコラムでは、難しいパーマ理論や毛髪理論は置いておいて…実際にDO-S式パーマの検証実験をする方法を説明します。

平成の中ごろから、パーマをかけるお客さんは減少しつづけています。
なぜお客様がパーマをかけなくなったのか?なぜパーマ離れという現象が起きたのでしょうか?
アンケートによると「パーマをかけると手入れが難しいから」という回答一番だそうです。そこでDO-Sでは、最新かつ独自のパーマ理論に基づき、薬剤や工程を見直して手入れが簡単で持ちが良くダメージの少ないパーマ。この3つの特長を兼ね備えたパーマの実現を目指して、色々と研究してきました。

それでは、実際に試してみましょう!

まずは普通毛で、あまりヘアダメージしてない方にモデルになってもらってください。
※検証実験の結果が分かりにくいので、硬毛・剛毛・超健康毛さんや細毛・軟毛・猫っ毛さん、ブリーチや縮毛矯正を施術してるようなダメージ毛のモデルさんは避けてください。
※またモデルさんが難しいようであれば、練習用のカットウィッグでも構いません。

用意する物は、できるだけシンプルなチオグリコール酸かシステアミンでできたハードタイプ(強いタイプ)の1液と、できたら過酸化水素水(オキシドール)の2液です。
※DO-Sの商品なら1液はDO-SカールL9かDO-Sチオローション9.2で、2液はDO-Sオキシ1.5ですね。あとよければすっぴん髪の基本であるDO-Sシャンプー&トリートメントと、アルカリ除去のために他にはない弱酸性で酸度の高いDO-Sアシッドとオキシ除去のDO-SOX-ZEROも用意してもらえたら完璧です。

DO-S式パーマの検証実験に必要なモノは以上です。

最後に、実際に検証実験する前にとても重要なことを説明しておきます。

  1. DO-S式パーマはすっぴん髪理論に基づいて設計されていますので、オーガニックでアミノ酸系のマイルドシャンプーやシリコンやポリマー等で皮膜を貼るシャンプー、つるぴかに仕上がる皮膜たっぷりのトリートメントやパーマ後のサロントリートメントは絶対にしないでください。
  2. パーマの前処理や中間処理の際、何もつけてはいけません。2液処理後の後処理だけはアルカリやオキシ除去のための中和処理剤や除去できるシャンプーを使用しましょう。
  3. 今までのパーマ理論では中間水洗やアプリケーターで水洗すると還元剤が流れて還元がストップすると考えられていましたが、最新の理論では水洗をしてもイオン化してない還元剤は残っていて、水洗すればするほど還元は進行するとされています。

中間水洗での還元進行の検証実験結果

画像右はDO-SカールL8で30秒還元して2液をした毛束

画像左は同じく30秒還元し、中間水洗して30分間放置(途中10分おきにアプリケーターで水洗)して2液した毛束

たった30秒の1液タイムでも中間水洗して30分も放置すればこんなにかかりが強くなります。

DO-S式パーマでは、皮膜系のシャントリやサロントリートメントはしない。

前処理、中間処理はしないで後処理でアルカリ、オキシ除去をします。
中間水洗で還元進行させて、かかりのコントロールをする。
この3つをしっかり覚えておきましょう。

DO-S式パーマの検証(初級編)

では、DO-S式パーマを試してみましょう。前回のパーマが残っていなくてヘアダメージのない、普通毛の方にモデルになってもらってください(モデルさんが無理な場合は、練習用のカットウィッグでも構いません)。

シャンプーして前処理はしないで、ワインディングは水巻きでもつけ巻きでも構いません。パーマの基本ではかかり上がりのカールはロッド径の1.5倍程度と言われていますが、かなり太めのロッドで巻いてください(ロッド径の1.1〜1.3倍程度)。ロッドを巻いたらターバンをして普通にパーマ1液を塗布します。放置時間は少し短めです。
※初めてDO-SカールL9やチオローション9.2を使用される場合、よくあるハードタイプのパーマ1液と同じ程度のかかり具合だと思えば特に問題ないと思います。テストカールをしてかなりゆるいぐらいでも大丈夫です。

シャンプー台でしっかりと中間水洗してください。水洗後にテストカールすると少ししっかりとかかっていると思います。

これで希望のカールが出てれば2液を塗布してもOKですが…
もう少し強くしたければ、このまま少し放置しておきます。もっとしっかりかけたければホットタオル(蒸しタオル)をのせて加温してもいいです。

5分〜30分程度放置しますが、途中何度かテストカールしてかかりが弱ければ途中アプリケーターでお湯かアルカリ水で流すと良いです(少しずつ還元が進行します)。

テストカールすると随分としっかりかかっているハズです。

希望のカールが出たら、1.5%程度の濃度の過酸化水素水で2液処理をします。基本はたっぷりの量を塗布して5分間を2回放置します。

そして2液の放置タイム後にアシッド処理やオキシ残留除去処理を行なってください。
※ロッドアウトする前にDO-SアシッドとDO-S OX-ZEROをアプリケーターで塗布して2〜3分放置でロッドアウトします。ミディアム〜ロングの方はロッドアウト後も揉みこむといいです。
あとは普通にプレーンリンスしてDO-Sシャンプー&トリートメントで仕上げます。
ナチュラルドライで、手入れのしやすさやカールの弾力の違いを体感してみてください。

DO-S式パーマの検証(上級編)

従来のパーマと比較したら、大きめのカールで手入れがしやすく、プリンとしたしっかりカールでダメージ感も少なめに仕上がったと思いますが、いかがでしょうか?

DO-S式パーマではより上級編で、持ちが良く手入れのしやすいパーマとして濡れてる時と乾いた時のウェーブギャップの少ないパーマもあります。

今までのパーマは、濡れてる時にはしっかりカールやウェーブが出るけど、乾いていくとゆるくなってしまう…これがお客様ご自身がスタイリングすることを難しくしてる原因でした。

そこで上級編として、エアウェーブやデジタルパーマの機械が必要にはなりますが、乾いた時と濡れた時の差が少ないパーマ(個人差あり)をかけることが出来るようにしました。

その施術法をウィッグで簡単に紹介しましょう。
まずは適当にカットしたウィッグを用意します。
大きめのロッドでワインディグします。

2液の前までは初級編とまったく同じです。
前処理なし、しっかり中間水洗、流してテストしてもっとかけたければ加温放置です。
テストカールでOKなら、エアウェーブの機械でロッドを巻いたまま完全乾燥させます。

完全乾燥したら、そのまま乾いた状態のまま過酸化水素水(オキシドール)でしっかりと2液処理します。
※使用するのは必ず過酸化水素水の2液にしてください。乾燥してるので毛先までしっかりと2液が浸透するようにつけてください。

2液後は初級編とまったく同じです。

するとこのぐらいのかかりになります。

これをドライヤーをかけないで、ふりふりして自然乾燥します(笑)。

自然乾燥以外は何もしないで、アウトバストリートメントとしてDO-Sトリートメントのみ少し塗布しただけの仕上がりです。

少し前の写真なのでヘアスタイルが古臭いですが、濡れてる時と乾燥した時のウェーブの差は少ないですよね。これでお客様は普段のスタイリングがとても楽になります。
※細くて柔らかい猫っ毛さんやブリーチや縮毛矯正してるハイダメージな方でなければ、髪質やダメージ具合を的確に判断して、2液処理の前にエアウェーブかデジタルパーマの機械で完全乾燥し2液に過酸化水素水を使うことで、この程度には仕上がります。

DO-S式パーマは、理論をご理解いただくととても簡単ですし、今までのパーマとの違いもはっきり分かります。ぜひ一度実践してみてください。

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